立教大学・輔仁大学合同シンポジウム 俵 健太朗

2014年11月7日に立教大学大学院社会学研究科と輔仁大学傳播學院による合同国際シンポジウムが開かれた。この国際シンポジウムは立教大学大学院社会学研究科の選択必修科目のプロジェクト研究B「グローバル・メディア研究」の一環として行われた。また、社会情報学会の定例研究会として後援をいただいた。院生による発表と教員による発表との2部構成であった。発表者やプロジェクトの教員だけではなく、立教大学の教員や一般の方達も出席された。

発表は基本的に英語で行われた。国際シンポジウムということで、筆者も含めて、発表者の院生達は事前にリハーサルを何度も行い、そのプレゼンテーションの向上に努力し、当日は初めての国際発表会の場で堂々と発表することができた。

立教大学大学院社会学研究科の院生は、三人一組で3つの発表を行った。一つ目が、大井手、花村、俵によるNPOについての発表である。東日本大震災の前後で、NPOの活動には変化がみられたかどうかを「連携」というキーワードに着目して、仙台市で活動するNPOの広報誌のテキストマイニング分析を行った。震災を機にNPOはより他のNPO、行政、民間とつながるようになり、住民の手で地域のまちづくりを促すような役割を自覚しはじめた、というのが結論である。

2つ目は何、王、園原によるエスニックメディア研究である。中国人留学生がどのようなメディアを通し、どのような情報を得ているか、またメディアによって情報の信頼度は変わるのかという問題関心のもとで調査を行った。日本語学校に在籍する中国人留学生を対象に質問紙調査を行った。政治に関する情報は、中国人留学生は中国と日本の両方のメディアを通じて情報を得ているが、日本メディアによる中国に関する報道への信頼度は中国メディアによる中国の信頼度よりやや低かった。さらなる、追加調査を行うことで、分析結果の信頼性を高めることをこれからの課題としてあげていた。

3つ目の発表の関心は日本の性情報の在り方である。日本と他の国ではそれが異なるのか、そうであるならどのように異なるのかを明らかにしようと試みている。チン、景、ラモナの三人の発表者は日本社会を外から眺めることで、日本における性情報の取り扱い方に疑問を抱き、そこから議論を展開している。彼女らは、2014年6月の日本の児童ポルノ禁止法の法改正に着目し、その法改正に関する記事を、日本国内と国外の新聞から集め、その記事の報道姿勢をさまざまなフレームを使用し分類した。日本と海外の新聞の報道姿勢を比べてみると、児童や女性の人権を主張し批判的な海外の報道姿勢とは異なり、日本の新聞は、中立な立場をとりつつも、表現の自由を引き合いに出し、法改正に反対する声があった、と結果を報告した。

輔仁大学の呉の研究は社会関係資本と市民的社会参画(Civic Engagement)へのSNS(Weibo)の影響について、ウェブ上での調査を通して分析し、次のような結果が得られた。SNSをよく利用することで、弱い紐帯と強い紐帯が形成されており、それらの形成が、市民的社会参画を部分的に促していた。このことに中国の民主主義を促す可能性を見出す結論としていた。

また、王は台湾のトレンディドラマにおけるゲイのキャラクターの描かれ方を、内容分析を用いて報告した。4つの台湾ドラマの内容分析から、ゲイのキャラクターがアメリカのゲイのように多様なイメージの上にあるのではなく、いまだ典型的なゲイのイメージの上で描かれていることを指摘した。

この後の向井のアニメ聖地巡礼に関する発表と教員の部は、筆者は残念ながら、別調査があったため退出した。話を聞くところによると、たいへん知的刺激を受けて、興味深かったとのことである。

発表能力の向上や質疑応答による研究のさらなる展望を得られたこともさることながら、筆者が最も刺激を受けた最大の収穫物は、国際シンポジウムに参加したこと自体である。日本語、中国語、英語が飛び交う中、研究をどうにか伝えようとする意志となんとか理解しようとする意志が通じる瞬間は気持ちのいいものだった。この経験はきっとこれから役に立つであろう。

(俵 健太朗 博士前期課程)

※本シンポジウムは、プロジェクト研究B「グローバル・メディア」の一環として行われました。

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