履修生によるフィールドワーク紹介 手島悠涼

プロジェクト研究C――震災経験のライフストーリー

本プロジェクトは、東日本大震災で甚大な被害を受けた地域を訪れ、ライフストーリー・インタビューの調査手法にもとづき、その地域で暮らす方々から震災の経験だけでなく、その人がどのような生き方をしてきたのか、ひとりひとりの人生の語り(ライフストーリー)を深く聞き、受講生各自の問題関心に沿った資料・論文を作成することを目的としたプロジェクトです。

開講初年度となった2014年度は、岩手県大槌町と陸前高田市の2つの地域で、夏と秋の2回フィールドワークをおこないました。現地を歩きながら夏におこなったインタビューを、その語り口を生かしたまま文字に起こし、それ(トランスクリプト)をインタビュー協力者の方にフィードバックし、秋のフィールドワークではそのトランスクリプトの確認を協力者の方(語り手)と共におこないながら、さらに追加インタビューを実施しました。今年度の院生受講生は4名ですが、フィールドワークは昨年度から始まった社会学部通年科目「震災のフィールドワーク:被災者の声を記録する」を受講する学部生の2年生から4年生7名とも連携しておこないました。

参加学生の中にはこれまで被災地と呼ばれる地域に一度も行ったことがない学生もおり、院生・学部生ともに、どれだけのフィールドワークをおこなえるか不安を抱えていましたが、実際に地域に入ってみると、大槌・陸前高田の両地域でたくさんの方が学生を温かく迎え入れてくださり、さまざまなライフストーリーと出会うことができました。また大槌町では、「おおつちさいがいエフエム」の収録に参加させていただくなど、インタビュー以外にも貴重な体験をさせていただきました。

震災から3年以上経ち、メディアで報道される機会も減り、東北はある程度復興したのではないかと思われるかもしれません。しかし実際に訪れてみると、地域の情景や人びとの語りからそうではないことが伝わってきます。被災地と呼ばれる地域に暮らす人びとの語りから、その人の生き方や考え方を丁寧に汲み取り、記録として残す。ひとりひとりのライフストーリーを文字にして残すことで、いま、その地域で何が起きているのか、被災地と呼ばれる地域に住む人びとが何を思い生活しているのか、メディアでは取り上げられないことを捉え、それを深く伝え、さらには調査者自身・調査の読み手自身が自らの生き方を考えるきっかけとなるような調査研究を目指しています。

(博士前期課程1年 手島悠涼)

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