履修生によるフィールドワーク紹介 柳川高弘

私は今回、近年注目されている社会的孤立に陥る人について、実際に石垣市に暮らす人々のネットワークから漏れてしまう人はいるのか否かを調査しようと考えていました。

初めてのフィールドワークは、正直言ってとても苦戦しました。例えば私は調査対象を比較的若い層としていましたが、なかなかそのような人たちにまでたどり着くことが出来ず、自分が本当は何を見たいのか、若い層に限定する必要はあったのかなど、途方にくれてしまいました。

私は、ひたすら石垣市内を歩き回りました。自分が見たいものは何なのか、実際にフィールドを歩きながら自分の感性に任せてみようと思いました。その中でふと入ったお店の方に、石垣市について調査している事を話すと、親身になって色々教えてくださいました。そこから私は出会った人に色々話を聞きました。そこで私が特に気になったのは、ホームレスの人たちでした。ホームレスといえば社会的に孤立する人の典型例ですが、石垣市の人たちの中には、ホームレスのことを一応気にはかけている方もいて、中にはその素性までを知っている方もいるのが興味深く思いました。

話しかけるのはとても勇気が要りましたが、話してみると、「何も変わらないな」というのが素直な感想でした。石垣市のホームレスの人たちは、確かに一般的に言う家が無い状態で仕事も無く、そういった意味では社会から孤立したホームレスなのかもしれません。しかし実際には、お酒を飲みながら、時に笑ったり喧嘩をしたりしながら、「ユンタク」(注:おしゃべり)をしているのです。あるホームレスの方は、知り合いには的屋から元やくざまでいると仰っていました。今はすくなくなったそうですが、公園でお酒を飲みながらユンタクしていると、どこからともなくこのような人たちが集まってきて宴会になります。あらかじめ時間は決まっておらず、昼間でもあれば夜中の3時である事もあるそうです。ゆるいネットワークは彼らの特徴であると言えるかもしれません。石垣市のホームレスの人たちとコミュニケーションすることによって、自分が見たいと思っていた、一つの生きた社会の事例を垣間見る事ができたということが、一番の収穫でした。

今回7日間の調査で私が感じたのは、実際にフィールドに出てみることの面白さでした。フィールドはまさに生きているので、そこで得られる生きたデータは、自身のテーマに確信的な根拠を与えてくれるし、同時に新たな問いも与えてくれました。また事前に授業を通して準備をしたことは、実際のフィールドで私を助けてくれました。例えば人頭税の話は、八重山の歴史を象徴する話の一つですが、このような話はふと石垣市の人々と話している中で出てきます。このようなものを拾い上げていくことができるのは、実際のフィールドと自身の研究テーマとの兼ね合いとして、重要であると感じました。

(柳川高弘)

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