教員インタビュー

メディア社会学科、
生井 英考 教授に聞く、15の質問

Q.1 今までの経歴を教えてください。

慶應大学在学中に学費稼ぎにある新聞社の週刊誌でアルバイトして、卒業後は同じ社のもうひとつの週刊誌の編集部に移ってそのまま数年間。それでお金をためてアメリカに勉強に行って、リサーチして論文書いて本書いて……というかたちですね。教員としては埼玉大学を振り出しに共立女子大を経て2011年から立教大学社会学部の専任になりました。

Q.2 どんな学生でしたか?

初めて編集者の基礎を叩きこまれたのが文芸雑誌の『三田文学』だったんですよ。まだ新宿の紀伊国屋書店本社ビルの中に編集部があった時代。そこで大先輩にあたる某文芸誌の元鬼編集長に文字通りしごかれた(笑)。変な学生時代でしたね。文学部社会学科の学生なんだけど、週一回のゼミの時以外はまるっきり文壇編集者。でも雑誌のなかで一番難しい文芸誌の仕事と、文系の中で一番応用力のつく社会学・人類学をやったのは後で考えると大きかったですね。

Q.3 専門の研究領域について教えてください。

地域研究(北米)、政治社会学、映像文化論です。

Q.4 担当している授業の内容について教えてください。

「情報社会論」は「情報とガバナンス」をテーマに、安全保障とジャーナリズム、インターネットと社会運動のありかたなどを履修生と一緒に考えています。ウィキリークス問題、SNSと「アラブの春」、原発報道、テロ、米大統領選とメディア……素材は山のようにありますから。社会学と政治学の架け橋といったところでしょうか。立教の法学部でも長く「政治社会学」を担当してました。

Q.5 担当しているゼミの内容について教えてください。

初顔合わせのゼミ生たちに「どうしたい?」と訊ねたら“ガチゼミ”がいいですというので、開館したばかりの「成田空港 空と大地の歴史館」に見学に行って、三里塚闘争とその時代のことを共同研究でやりました。40年も昔の話だから相当苦労したでしょうけど、当時の新聞報道をくわしく言説分析したり、あの闘争を記事にした『少年ジャンプ』の編集者やカメラマンを探し出してインタビューしに行ったりね、皆がんばってやり通りして報告書をまとめました。

Q.6 ゼミを通して特に学生に伝えたいことは何ですか?

ゼミは教員との間の「タテ」、ゼミ生同士の「ヨコ」、先輩後輩の「ナナメ」がそろうと、いい肌触りの織物のような集団になる。いわば「スヌーピー」に出てくるライナス坊やの毛布みたいなもので、大学生活に欠かせない存在になってくれるんですよ。

Q.7 指導する上でモットーにしていることは何ですか?

ゼミでも講義でも、クラス全体でヴィジョンを共有すること。教員と学生が同じ方向を向いて、共に探究する。”vision”という言葉は「想像力の視野に浮かぶ眺望」というのが意味で、つまりは社会学的想像力をつねに発揮し、共有することなんです。

Q.8 学生には卒業後にどのような人に育ってほしいですか?

いまはリスクをとって冒険するのが難しい時代ですが、これさえ守れば大丈夫というお手本もない時代です。ならば不必要に怖れてはいけない。就活も大変だけど就職はゴールではないので、つねに自分と社会の関わりから「学ぶ」ことを忘れないでほしいですね。

Q.9 社会学の魅力は何ですか?

柔軟であることと奥が深いこと。学部時代に社会学をしっかりやるとその後どんな分野に進んでも応用が利きます。逆に社会学を究めようとすれば壮大な体系が目の前に広がる。そこですね。

Q.10 どのような学生が社会学部により合っていると思いますか?

変人と凡人(笑)。いやあながち冗談でもなくて、俺って変なのかなと秘かに悩んでる人とか、逆に私ってフツー過ぎて退屈と不満に思っているとか、そういうずれが学びのきっかけになるんですよ。

Q.11 大学生活を送る上で最も大事なことは何だと思いますか?

僕はいつも初回の授業で「大学生は生徒じゃないよ」と話します。学生は元は“学生(がくしょう)”と言って「自ら求めて学ばんとする者」が原義です。その意味で教員も学生も同列、それが大学なんです。つまり基本は自己鍛錬。教員はそれを助ける役目です。

Q.12 立教大学のキャンパスの好きなところを教えてください。

建物がいかめしく巨大でないところ。古くて伝統を感じさせるけれど威圧的じゃない。本館から第一食堂にかけてのような空間がキャンパスの真ん中を占めているのが立教らしいたしなみですね。

Q.13 学生におすすめしたい本を教えてください。

たくさんあり過ぎるのであえて最新の一冊から樋口映美編『流動する〈黒人〉コミュニティ』(彩流社、2012)。社会学ではなくアメリカ社会史の専門書ですが、社会史は歴史学における社会学的関心の展開ですからね。「黒人」と一括りに呼ばれている人々の多様性に非常に面白い現代的な光を投げかけてます。

Q.14 “学ぶ”ことの意味は何だと思いますか?

学ぶことを磨いてゆくと「見えた!」という感じで視野がぱーっと一気に拓ける瞬間があります。あの至福の境地をめざすことかな。

Q.15 最後に高校生へのメッセージをお願いします。

大学には教わるだけの「生徒」はいません。いるのは自ら学ぶ「学生」だけ。その気概を持ってキャンパスに来てほしいです。

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