教員インタビュー

メディア社会学科、
林 怡蕿 准教授に聞く、15の質問

Q.1 今までの経歴を教えてください。

台湾出身で、国立台湾大学を卒業後に同大学大学院に入り、修士号を取得後に記者の仕事をしていました。2001年に留学生として日本に来て東京大学で修士号と博士号を取り、2008年から仙台大学で教え、2013年の4月に立教に着任しました。

Q.2 どんな学生でしたか?

台湾大学のジャーナリズム大学院にいたときは、ニュース番組や新聞を作る授業がたくさんあって、取材や撮影、編集のトレーニングも受けました。社会のさまざまな側面とリアルに接触することができて、充実した日々でした。東大に入ってからはメディア理論の勉強三昧でした。

Q.3 専門の研究領域について教えてください。

マイノリティの人々がどのようにメディアを通して、自分たちの声=主張を発する場を確保・維持するのか。そのプロセスの社会的・政治的意味を研究・分析しています。具体的にはエスニック・メディアやオルタナティブ・メディア、市民メディアの実践が挙げられます。

Q.4 担当している授業の内容について教えてください。

「オルタナティブ・メディア論」では、市民やマイノリティが主体の情報発信に関する事例、関連の理論概念を教えています。多文化主義とメディアのあり方について考えています。

Q.5 担当しているゼミの内容について教えてください。

「基礎演習」は三学科共通ですので、各学科から約3〜4人が集って学んでいます。学部共通のテーマから学生たちはそれぞれ自分の関心を活かす形で、自由に問題設定をして調査するスタイルです。「専門演習2」のゼミでは学生たちがグループで外国人と言語教育、若者のSNS疲れ、新聞におけるイジメ報道の内容分析、といったテーマで調査しています。

Q.6 ゼミを通して特に学生に伝えたいことは何ですか?

思い切ってやることですね。やりたいことがあるなら、よく計画を立ててやればいいと思います。周囲に遠慮したり、自分はどうせできないと決めつけず、とにかく挑戦し続けてほしいですね。夏に台湾合宿に行ったのですが、海外が初めての学生が数人いて、4日間の滞在で面白くなった子が何人もいました。普段と違う空気を吸ってみるのも重要ですね。

Q.7 指導する上でモットーにしていることは何ですか?

知識と理論の勉強を疎かにしない、そしてかならず「現場」に足を運ぶことは、研究の基本です。インターネットが便利になった今日では、データや資料が簡単に手に入りますが、それに依存せずに現場を自分の目で観察・記録して、当事者の声に耳を傾けることが大事です。そして既存の枠にとらわれずに常に柔軟な発想をもってほしいと思っています。

Q.8 学生には卒業後にどのような人に育ってほしいですか?

後悔をしないように自分の納得のいくところまで頑張ってほしいなと思います。あの時やってみればよかったと後になって言い訳をするよりは、とにかく挑戦してみること、そして、自分が成し遂げたことに自信を持ってほしいですね。

Q.9 社会学の魅力は何ですか?

正解が無いことです。特に、私は外国人の視点で日本社会を生きているので、色々な視点・角度から観察できる点が面白いところだと思います。学生はよく「こういう風にしたいのですが、これで合っていますか?」と確認に来ます。しっかりと論理的に手順を踏んで考え抜いたことであれば、今のところ得られる一つの答えになるのではないかと伝えています。大学では色々な角度からの検証や考えを楽しめる環境があるので、正解ばかりを気にせず、考え続けてほしいと思います。

Q.10 どのような学生が社会学部により合っていると思いますか?

主体的に考える習慣を身につけている学生が合うと思います。社会の出来事に敏感で、今の世の中あるいは日本で何が起きているのか、運命共同体として自分と他者はそれぞれどのような立場にいるのか、自分の立場から何ができるのか、ということを考えたい学生がいいのではないでしょうか。

Q.11 大学生活を送る上で最も大事なことは何だと思いますか?

自由に時間を使える最後の四年間ですから、悔いのないように充実して過ごしてほしいと思います。それから、生涯をかけられる趣味を持つこと。仕事や将来やりたいこととは全く違う、心を潤すようなもう一つの趣味を持つことが重要ですね。複数の人生を同時に楽しめたら素敵だなと思います。

Q.12 立教大学のキャンパスの好きなところを教えてください。

チャペルはきれいで細部にまでこだわっているので、好きです。古い建物を活かして、新しいものを積み重ねている感じがしますね。自分の研究室も好きです。

Q.13 学生におすすめしたい本を教えてください。

『DAYS JAPAN』というフォト・ジャーナリズムの雑誌です。月刊誌で、主流メディアではほとんど報じられない世界中のさまざまな現実を写真で表現していて、マイノリティーの人たちの立場から、その人たちの存在を示すことを目指しています。例えば、パキスタンのテロだったり、震災後の福島の被爆問題だったり、貧困層の女性が受けるDV問題だったり。主流メディアではあまり見られない複数の視点を提供してくれる貴重な情報源だと思います。

Q.14 “学ぶ”ことの意味は何だと思いますか?

一種の社会的な体力づくりでしょうか。色々なことを多様な視点から学ぶことで、自分の体力をつけ、いざという時に走り出せるためのものではないかと思います。また、私にとっては、自分の存在を確認するためでもあります。外国人として日本にいる立場ですから、やはりどこか不安に感じる時があるんです。そういう時は活字や映像を通して、色々な人の視点を吸収して、こういう風に考えてもいいんだと確認して、自分を落ち着かせたりもします。

Q.15 最後に高校生へのメッセージをお願いします。

高校までは決められた時間に決められた授業を受ける生活スタイルだったと思いますが、大学に入って初めて自分で自由に時間の使い方を決められます。だからこそ、時間の決め方だけではなく、生き方も含めて色々な人と接しながら、自分の頭で考えてほしいなと思います。海外に出かけて、異なる社会や文化に触れて、今の自分の日常生活から一度距離を置くことも重要ですね。そうしたら、今まで悩んでいたことが一気に解消して、発想や気持ちの転換になります。外国語を身につけて、世界を見ること、そして、自分の生き方を真剣に模索してほしいですね。

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