教員インタビュー

社会学科、
野呂 芳明 教授に聞く、10の質問

Q.1 今までの経歴を教えてください。

東京大学の文学部社会学科を卒業し、そのまま大学院に進んで、厚生省の特殊法人社会保障研究所(現:国立社会保障・人口問題研究所)に二年間勤めました。それから東京学芸大学の教育学部で十七年間働き、2006年4月に立教大学社会学部に赴任、現在に至ります。

Q.2 学生時代はどんな学生でしたか?

受験勉強に熱心だった流れで、2年生の前半まではありとあらゆる授業にきちんと出るような真面目な学生でしたが、その後は出たい授業にしか出ない普通の学生になりました。でも、ゼミを中心に長い付き合いになる友人もできて、とても楽しい学生生活でした。ゼミの先生が真面目な方で、私が夏合宿を提案したらびっくりされたのですが、会津の安達太良山に登った合宿で、先生の人間としての側面が見えて親しみを覚えたことがとても印象に残っています。

Q.3 専門の研究領域について教えてください。

格差や不平等に関心があったので、その延長線上で地域政策と福祉政策の研究に取り組みました。また、社会学分野で10年に一度行っているSSM調査(社会階層と社会移動全国調査)にかかわり、人々のキャリアと地域移動の関係について調べました。地方出身の人が東京に出るためには大きなコストを払うけれど、その選択がその人のキャリアにとってメリットになっているのか。そんな問題関心でデータ分析をしました。この経験が非常に面白かったし、財産になりました。

Q.4 担当している授業の内容について教えてください。

必修科目の「社会調査法」では、データ処理の手法を教えています。「現代社会と政策」では、戦後の高度成長期が終わっていくプロセスについて紹介した後、国の工業化政策のもと開発された地方都市のコンビナートや周辺地区の推移などを例に、それぞれの地域の取り組みを学びます。その後、学生たちが生まれ育った地域がどうなっているのか考えるために、長めのレポートを書いてもらいますが、さまざまな出身の学生がいるので読み応えがあります。

Q.5 担当しているゼミの内容について教えてください。

自分たちが日々を暮らす生活場面にきちんと目を向けてもらいたいと思います。普段意識せずに過ごしている日常の風景の中に、さまざまなかたちで色々な人の手や政策の手が入っていて、そういうトータルなセットの中に自分たちがいることを知ってもらうことがゼミの目的だと考えています。そのために、みなで大学から新大久保まで 一緒に歩き、目白の邸宅街、町工場などが残る庶民的なエリア、コリアンタウン…と、町の表情が変わっていく様子を見たり、合宿もします。グループ毎にフィールド調査をした後、4年生で個人研究をします。

Q.6 ゼミを通して学生に伝えたいことは何ですか?

実際に外に出て、人に話を聞いて、初めて見えたりわかったりすることがあります。面倒くさい、怖いというリスクはあるけれど、それでも「外に出てみよう」と伝えたいと思います。それから、友人たちと 向き合うこと。一つの卒論ができあがるまでには、ゼミの仲間同士でお互いに批判し合ったり、読み合ってチェックしたり、必ず助け合うんですね。そういうプロセスがあって初めて自分の名前の作品ができあがることを知ってもらいたいと思っています。

Q.7 社会学の魅力は何ですか?

色々な立場によって、色々な解答があります。そのような問題を取り扱うことによって、自分自身の考えや自分の立ち位置と周りの世界との関係を改めて考えられるようになります。正解は一つではないけれど、その中で「こういう考え方なら筋が通るじゃないか」と気づいた瞬間が本当に楽しくてやっているような気がします。

Q.8 どのような学生が社会学部により合っていると思いますか?

誰でもウェルカムですが、かつて私自身がそうだったように、自分と外の世界との関係で違和感を感じていたり、世の中の出来事に対して「窮屈だな」「矛盾だな」と感じている人。そんな問題意識を持ってしまい、そこから離れられないような人には、それらについて考えていくきっかけとして、社会学が役に立つと思います。

Q.9 学生におすすめしたい本を教えてください。

読みこなせればマックス・ヴェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』のような社会学の古典を読んでほしいですが、具体的問題から入るなら『ルポ 貧困大国アメリカ』(堤未果 著)などがおすすめです。アメリカは圧倒的な軍事力を有し世界のリーダーシップをとる国ですが、同時に、多数の合法・非合法の移民が流入し、日本人には想像し難いほどの格差や貧困など、沢山の問題を抱えていることが紹介され、色々と考えるきっかけとして読みやすいと思います。

Q.10 最後に高校生へのメッセージをお願いします。

大学の四年間は長いようでいて、とても短い。そして、人生の中でものすごく大切な時間です。その大切な時間を存分に贅沢に過ごしてもらいたいですね。変に自分の行動をけちったり、自分を抑えたりすると、本当にもったいない。だから、惜しみなく自分の気力、知力、そして財力を使ったらいいんじゃないかなと思います。

前年度はこちら 戻る

トップに
戻る